「最後の一句」「鶏」「花子」
2022年 07月 27日
森鴎外の小説に手がつかなかった。
今年は没後100年ということで、その作品の面白さを平野啓一郎さんと村田喜代子さんがNHKの番組で語っていた。
こういうことをきっかけにもう一度お勧めの作品を読んでみよう・・・そうでなければ私の残りの人生に森鴎外は登場しないだろうという訳のわからない理屈で、お勧めの3つの短編を続けて読んでみた。青空文庫ですぐに手にできるのはありがたい。
「最後の一句」は江戸時代、理不尽な罪で父が断罪されるのを助けようと自分と兄弟の身をさしだす。
「お上の事には間違いはございますまいから」と。
「鶏」は九州に単身赴任をした軍人が地元の手伝いばあさんやら、下男が食べ物やら道具をくすねてゆくのを眈々とみている。
「花子」はロダンのアトリエに赴いた日本人女性花子の人間としての美しさをロダンが語る。
どれもさらっと読むことのができ、ああ、やっと鴎外に近づけたと思ったのだが、なにかすっきりしない。
どうしてだろうと一晩考えてみて、自分なりの勝手な理由を見つけた。
もしや、森鴎外先生は強くて、立派すぎるのではないだろうか・・・葛藤して苦しんだ作家には近づけても、あまりに偉い人には近づきがたいという気持ちなのかもしれない。もちろん勝手な憶測で、大なり小なり苦しまずに人生を送ることの出来る人はいるはずもないが。
ともかくそれでも突破口が開いたので、これからは周りでうろうろしないで、興味あるものは手にとれそうだ。
しかも、「花子」は私の好きな作品として心に残りそうなのだ。
一方で今「失われた時を求めて」を読んでいる。
長いので他の書物が手にとれなくなるのが難点だ。
で、一冊終わると小品と触れる。
本から本へとはなんと楽しいひとときだろう。
「失われた時を求めて」は3冊め、第二編「花咲く乙女たちの影に1」に入った。
もっと早くに出合えばよかった、いや今だから味わえる・・・うーんやはり楽しい。
気が付けば7月もまもなく終わる。