「98歳、戦いやまず日が暮れず」佐藤愛子著
2021年 09月 07日
同じ世代の作家には時代背景を共有しているせいか馴染み深い。
90代の作家が新刊本,それも生涯最後の本を出したとなれば、同世代の母も興味があるのではと
いつものkindle版ではなく書籍で購入してみたところ、案の定母は2日で読み終えてしまったようだ。
私はさして興味もなく、でもせっかくあるのだからと手にとれば
ああ、なるほど、母はこんな気持ちなのかと気付かされることもある。
「もう、へとへと」
なにをやるにしても思うように動けないしすぐに疲れる、もう十分生きたから・・・」と、母が時折りいう言葉がこの「へとへと」に象徴されるようで、作家は一言でうまく表現するものだと感心してしまう。
「何も食べたくない」
美味しい!美味しいと私の作った料理を食べていた頃が懐かしく、最近ではお腹もすかず、何を食べてもおいしくないという。母だけではなく、みんなそうなんだなぁ・・・食べたい時に食べたいものをね。
しかし、佐藤愛子さんの魅力はそれだけではない。まだまだ世の中への怒りの強さ、それでいて心配性の弱さ、本質を見抜く鋭さ。そして時には馬鹿になれる。
つまり何一つとっても気どりがないところだ。「人にどう思われようと自分の人生は自分で始末をつけようという潔さと、最後はどうにかなるさといういい加減さ」が読者に勇気を与え、逆に気を楽にする。
読みついでにベストセラーのこれも読んでみる。
軽快なテンポもエッセイばかり2冊読めば少し食傷気味にもなるが、それでも
「うん、うん、そうそう、それよ、言いたかったことは」とうなずけるのが楽しい。
漫画「いじわるばあさん」の年齢に自分がなってみて、いやー、長谷川町子はたいしたばあさんを作り上げたものだと今更感心しているが、その小気味の良さは佐藤愛子さんが持ち続けてくれているようだ。
「みなさんさよなら。ご機嫌よう。ご挨拶して罷り去ります。」と最後の挨拶
さすが98歳の作家、美しい日本語だ。
潔さと精神が特別お元気で、生きてきた日々の過ごし方に
筋を通す力強さ、この年代の女性は戦争を経験している世代ですから
それがおおいに影響している、と思います。
whiteさんもお読みになったのですね。確かに戦争を体験した世代は強いですね。母も人生いろいろあったけれど、戦争は本当にいやだと言っています。
佐藤愛子さんの人生観も学ぶところがたくさんありますが、この年齢でピリットした文章力、感服でした。たまにはお会いして本談義をしたいものですね・・・・。
初めまして、よろしくお願いします。
佐藤愛子さん、ふーんという感じで昔母が読んでいるときは興味がもなかったのですが、今回読んでみてもっと早く読めばよかったと思いました。
その生き方と文章の勢いにどんなに応援をいただけることか。本当に脱帽ですね。