「三つ編み」 レティシア コロンバニ著
2019年 07月 06日
作者レティシア コロンバニはフランスの女性の映画監督である。
映画監督は舞台にイタリア・カナダ・インドを選んだ。
そこで暮らすそれぞれ違う立場の三人の女性が主人公である。
境遇も環境も違う。
しかしこの三人は崇高な共通点がある。
理不尽な運命を切り開いていくという生きる力である。
三つ編みのように、その三人の人生は編まれて、最後はあたかもゴム紐で結ばれるように一点に集まる。
すでに映画化も決定しているようだが、この三大陸の舞台と主人公の姿は映画でなくても映像として心の中に入ってくるのはやはり映画監督が書いた小説だからなのか。
それぞれの社会の背景が力強く描かれている。その力強さが読者の視野を広げてゆく。
「Me too」運動からの流れでフェミニズム小説だというとらえ方もされているので実は読む前は気が重かった。それなのに手にとったのは、なにか気がかりな本であったからだ。そして私の想いは杞憂であった。主人公たちのの戦う相手は男性ではなく社会であったからだ。
テンポよく運ぶ流れは、読者を離さない。
そして繊細な心の動きの表現には胸が熱くなる。
人に本を勧めるのはその人の負担になると思いながらも良い本だと思って、人に勧めた。
ところがすでに多くの書評が出ているようで、書店でもアマゾンでもただいま増刷待ちだそうである。