「サピエンス全史」と「重力ピエロ」を続けて読んだら
2019年 01月 14日
ネアンデルタルー人が滅亡し、地球上の人間がホモサピエンスだけになってから、われわれはどう生きてきたのか?
ユヴァル・ノア・ハラリ氏になる「サピエンス全史」は面白かった。
どういう戦いがあったのかではなく、なぜ人間は戦うのか
そして、どうやって人間が共同体をつくってきたか、
何故、体の大きいネアンデルタール人ではなく体の小さいホモサピエンスが生き残ったか。
それはあたかも歴史の鳥瞰図を見るようである。
ホモサピエンスには今目にしていないものへの想像力があった。
紙幣は単に紙に過ぎないが、紙幣はものが買えるしことを知っていた。
目には見えない力を信じることができたと著書は言う。
ホモサピエンスの誕生から何十万年のほんの80年ばかり、今、この世に生きる運命を持ったことを不思議に思う。
その鳥瞰図をズームしてゆく。
そんなふうに、高層ビルの上から人々の暮らす路地までズームレンズで拡大したのが、
この小説なのかもしれない。
「重力ピエロ」伊坂幸太郎著
高いところから下を見下ろすと、自分の悩みはなんとちっぽけなんだろうと思うことがある。しかしホモサピエンスは全てがそんな風に単純ではないのだ。
むしろ悩みはそれぞれのサピエンスにとってちっぽけではないことが多い。
たとえ7万年の中の1日であろうと、1時間であろうと、一瞬であろうと、大きな結果を残すことになる。
もし、自分が見知らぬ男のレープによって生まれた人間だろしたらどう生きるだろう?
もし、自分の妻がレープによって妊娠したら、どうするだろう。
もし、自分の弟が母への見知らぬ男のレープによって生まれたと知ったら?
理不尽な出来事を抱えながらそれでも互いを深く想いやりながら暮らす家族いた。
伊坂幸太郎はそんな家族が寄り添って生きることが出来るだけで十分だと思う読者に更なるカードをつきつける。
人間は正論だけでは生きていけないと。
書店でアルバイトをしていたという同僚のお薦めの本だった。
ずいぶん前に書かれたものだったが(2003年4月1日)、読んで良かったと思った。
この2冊の本を続けて読んだのそれぞれの読後感を印象深いものにした。