バーネット作 「秘密の花園」 今だからこそ知るこの物語の楽しさ


秘密の花園のお話は小さい頃、小学館の名作漫画全集で読みました。

その時は「孤児であるエミリーが禁じられた庭に内緒で入り、その庭を再生し偏屈な叔父の気持ちが軟化して、良かった、良かった」くらいの認識でした。

それでも子供心の中に暖かい物語として残っていました。

今回改めて手にして、これは生半可な物語ではない、登場人物の輪郭がはっきりと綴られ、実は庭の再生ではなく人間性の再生物語であると知りました。


エミリーはインドで両親から愛されず、召使に育てられ、わがまま放題の可愛くない偏屈な女の子でした。ある日突然流行りの病で両親を失くし、召使もみんな逃げ去りたった一人残されます。イギリスのヨークシャーの広大な屋敷を持つ叔父に引き取られますが、誰にも愛されない子供でした。

エミリーを変えたのはヨークシャーのムアの自然でした。

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そしてエミリーの世話をしていたマーサの弟のディコンとエミリーと同じように偏屈な庭師のベンと知り合うことになります。

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ある日屋敷の中に子供の叫び声を聴きます。誰にきいてもそんなことはないといいますが、とうとう探しあてます。それはエミリーの従弟のコリンという同じ年の男の子でした。病気がちで歩くことが出来ません。彼もまた、その病のために偏屈な子供でした。

その父親は妻を失くした悲しみのためにコリンを顧みません。しかしエミリーとディコンのおかげで次第に元気になり、とうとう歩けるようになります。

子供たちを子供らしく元気にしたのは、秘密の花園でした。コリンの父親は妻を亡くした悲しみから妻が大切にしていた花園を封印していたのです。

コマドリの導きで鍵を見つけたエミリーは庭を元のように花々が咲き乱れる花園にしたいと願います。

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秘密の花園に子供たちを導いたのは実は亡くなったコリンの母親だったのでしょうか。この物語の最後は歩けることを隠しておいて父親を驚かすところで終わります。

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物語にはいくつかの山がありますがその中でも、ヨークシャーの春、木々が芽吹き、植物が動き出す瞬間は読んでいてもどきどきするほどでした。それはあたかも、この悲しみに満ちた一族と子供たちの再生の瞬間でもあったのです。

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そのほか

エミリーがたったひとりになった時。

コリンとエミリーのけんかの場面

ディコンの母親とエミリーとコリンが初めて会う場面

数々の場面は子供向けの童話でありながら、おとなの胸を動かすのです。

子供の頃には作者の意図など理解も出来ず、今再び読み直してこの児童書に感激するのもまた楽しいことでもありました。




「秘密の花園」を再び手にしたきっかけは梨本香歩さんの『「秘密の花園」ノート」を読んだことがきっかけでした。

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児童文学者である梨本さんの解説は、この物語の深さを示唆してくれたおかげで二倍も三倍も作者の心に近づけたようです。


(画像は映画からお借りしました)


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by shinn-lily | 2018-01-17 21:36 | | Trackback

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