真夏の騒動
2017年 08月 09日
それは一通の郵便封書から始まった。6月末のことである。
手紙は勤務先すぐ横の駐車場を管理していた不動産会社からである。
駐車場は7月一杯で閉鎖になるので、契約を終了するという内容であった。
29年前、それまで栗林であったところが都合よく30台ほどの月極め駐車場となったので、以来そこを便利に利用して車通勤をしていた。
すぐに、不動産屋に問い合わせたが近辺はビルの工事などで業者が借り切り、当分空きはなく、次の駐車場の案内も出来ないという。7人の車通勤者が駐車場難民となった。
あちらこちらの不動産屋さんに電話をかけまくって泣きついた結果、坂の向こう6分程度の場所に2人、川の向こうの近隣マンションの駐車場に1人、同じく川向こうに運よく1人、当面はコインパーキング(徒歩10分)でしのぐ1人、そして公共機関利用が2人となった。
なんとかおさまった4人は、その執念と根性の結果である。それにしても、今までが駐車場から会社まで徒歩0分と恵まれ過ぎていたのかもしれない。
この近辺、土地はふんだんにあるが市街化調整地域となって、税金が低く抑えられている。1台でも駐車場として貸すと、税金が跳ねあがるので、なんとなく畑や梅林、栗林にしておくのだとは地元の方の話し。
さて私は根性のない一人、いや自宅から最寄り駅まで12分、
電車5分、会社は駅前2分、待ち時間をあわせても30分弱という環境では、離れた駐車場より電車通勤の方がましと考えたのだ。それに「健康、足、歩かなければ」などという言葉も頭にちらつく。
勤務も今は半日なので、夕方急ぐ必要もない。
とはいえ、29年間の生活をがらりと変えなければならない。
周りの人にこの悲劇を訴えた。
「体にいいじゃない」とみんなが言う。
「大変ね」と言ってくれるのは、車生活にどっぷりつかっている人。
みんながあたりまえにやっている通勤を、大騒ぎして恥ずかしい。
が、この歳にして一大決心である。29年間の慣れ親しんだ生活をかえることになるそれも暑い8月から・・・。
続く