歌舞伎座杮葺落 4月公演 その2
2013年 04月 29日
主なる役者さんがたくさん出てくるので楽しみであるが
予想をしていたものの、やはりいるべき人がいない寂しさをひしひしと感じた。
もしや、そう感じさせない迫力の演技を見せてもらえれば、次世代の歌舞伎に光明を見ることができると
期待をしていたのだが。
「鶴寿千歳」はお祝いの演目であるが、それにしては寂しかった。
藤十郎さんと團十郎さんが舞うはずであったつがいの鶴のはずが
藤十郎さん一人の舞となった。
先だって公達の染五郎さんが舞うが、どうもしっくりといかない。
母が、「体で踊っていないわ、手で踊っている」と言ったその言葉が言いあてているような気がした。
事故で怪我をしてから、まだ治りきっていないのではと心配になる。
「お祭り」は勘三郎さんに捧げられた一幕である。
勘三郎さんが舞う予定だったところを、ゆかりの役者さんが勢ぞろいして舞台をひきたてた。
かつて、ふたりのかけありの踊りが好きだった坂東三津五郎さんが相手を失ったためか精彩がない。
七之助さんと93歳の茶屋女房役の小山三さんとに手をひかれて登場した勘九郎さんの2歳か3歳の長男が
可愛らしい。
20分ほどきちんとじっとしているのはたいしたもんだ。
ときおり、前で踊る役者さんの真似をして手拍子を打ったり扇を広げたり
そのたびに観客を思わずどよめく
勘三郎さんの奥様の芳江さんが「明日死んでもよいので、この舞台に立たせたかった」と言ったと聞いた。
ここに勘三郎さんがいないことが、悔しいくてならない。
「熊谷陣屋」は仁左衛門さん、玉三郎さん、吉右衛門さんと役者はそろったが、どうもこの手の筋が苦手である。ひとりひとりの所作を楽しんだ。
幕間に緞帳が披露された。これから歴史を紡いでいく新しい緞帳だ。
この日私は、以後中村七之助さんのファンとなろうと秘かに決めた。
きっといい女形に育ってくれることだろう。
5月公演も観にゆく予定である。
なにしろ、3年間のお休みがあったので、とりもどすために忙しいのだ。