鷺沢 萠著 「ケナリも花、サクラも花」

ケナリも花 サクラも花
という書名にふと魅かれるものがあって読み始めた。

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「ケナリ」を調べた。日本語のレンギョウの韓国名であった。
レンギウは枝を土に挿しておくだけで根付くほどの強い花であり、群なして咲く姿は春を讃歌するような明るさがある。
この著書の中でケナリは韓国の象徴である。

著者鷺沢萌(さぎさわめぐみ)は自分の1/4が韓国の血であることを、20歳になって知る。
19歳で文学界新人賞を得た後のことである。
父方の祖母は自分が韓国人であることを隠して、著者の父親を育てたのだ。


著者の中でその1/4の血はその後の人生を大きく動かしてゆく。
その様子は
「私の話」に書かれていることをみればよくわかる。

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鷺沢はハングルを学ぶために延世大学に短期留学をし、その時の滞在をもとに書かれたのがこのエッセイ集「ケナリも花、サクラも花」なのである。
日本にいても、「ここは私の国ではない」と感じ
韓国にいても「ここは私の国ではない」と感じる。
そう感じていても、韓国に来て「そうだったのか」とわかることがある。
ずーっと理解できなかった父親の考え方、行動が初めて理解できたのである。
2つの国の狭間で揺れ動く鷺澤の感性はあまりにもするどく、そのことが彼女を追いこんでゆく。

現地で雑誌のために受けたインタビュー記事に添えられた鷺澤の写真は当日、ケナリの花の前で撮ったものだ。
送られてき雑誌を見てケナリの後ろに桜が写っていたことを知った。
鷺澤は女性編集者の気持ちを深く感じることになる。

留学したのは24歳、そして鷺澤は35歳の若さで自ら死を選んだ。生きていれば今48歳、
私はその短い生き様をもっと知りたいのと同時に、細いロープの上を自分でゆすりながら歩くようなその繊細な感性にもう少し触れていたかったと感じた。

近所のレンギョウも川べりの桜もだいぶ色づいてきた。


「ケナリも花、サクラも花 」新潮文庫
「私の話」河出文庫
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by shinn-lily | 2016-03-22 21:46 | | Trackback

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