それぞれの2015年2月1日


2月1日 快晴 
朝7時過ぎ、最寄り駅にはマスクをして、塾の鞄を背負った子供と親のカップルが何組もいた。
そういえば、今日は私立中学の入学試験が始まる日、20年以上も前になるが、私もむすめと一緒にこうして5日間ほどあちらこちらに出かけたものである。
思い通りの学校に入れる人は上位ほんの一部であり、どの親も子供の実力より少し上の学校に入って欲しいと願うのだから100戦100勝とはいかないのが普通だ。
当時、先に中学受験を経験していた友人が言っていた。
「入れた学校が本人に一番良い学校」と。
それ以来、その言葉に何度助もけられ他の子供の受験にも何度もそう伝えた。
そんな想いを持ちながらも、駅にいる子供たちのここ5日間の戦いを思うと、顔が直視できなかった。
「入れた学校が一番いい学校だからね」と見知らぬ子供たちに心の中で声をかけた。
中学受験などをはるかに超える、希望に満ちた未来が待っているはずだ。

小田原行きの急行に乗る。
横の席も前の席も、あっちの席もこっちの席も山歩きの恰好をした50代から70代の女性でいっぱいである。
この人たちはあと2,3時間もすればさわやかな空気を体いっぱいに吸い込んで、しあわせな気分を満喫するのであろう。うらやましいとも思う。
しかし、デパートならいくらも歩ける私なのだが、自然の中を歩くのは苦手である。
それゆえこらからも、中学生の頃の学校行事で登った白馬の思い出をただ一度の登山経験として大事にかかえていくことになりそうだ。

小田原から三島にむかう。
新幹線なら20分ほどで着くのだけど、急ぐ旅ではない。
やはりいつものように東海道線に乗った。
小田原を出るとまもなく海が見えるからだ。
丹那トンネルに入るまで、穏やかな海が光っていた。
車窓から心静かに海を見入る。
トンネルを抜けると函南、三島と続く。
2月1日が祥月命日である長男の墓は三島の駅からほど近い町中の寺にある。
37年前の2月1日も快晴で空気がキーンと冷たく、今日のように富士山がくっきりと見えた。

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この日の朝、イスラム国に拘束されていた後藤健二さんの殺害映像がネットで流されたと速報が入った。
後藤さんの未来が葬られてしまった。
せめて後藤さんの希望だけは繋いでいかなければならない。

合掌
by shinn-lily | 2015-02-03 00:06 | 大切な場所 | Trackback

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