ハコ急まほろ駅南北の二軒の大型古書店


三浦しをん氏は著書「まほろ駅前多田便利軒」の中で「小田急」を箱根のハコを使って「ハコ急」ともじった。
「まほろ駅」は「町田駅」のこと。

町田は幕末から明治にかけて八王子から横浜に絹を運ぶ中継地として重要な場所であった。
小田急線で新宿から急行で約40分、昔の面影と新しい繁華街、そして周辺の住宅地へのバスの発着地としてたくさんの人が行きかう街である。
この三浦しをん氏の「まほろ駅前多田便利軒」をキンドルで読んだ。
あまり冴えない男たちがかっこよくはないが人間の味わいをしみじみと出してゆく。
土地勘のある場所が舞台でもあり興味深く、さらさらと読むことが出来る本であり、
人として、どう生きていくか、ほわっと暖かい本であった。
しかし私としてはこの直木賞受賞作品より本屋大賞を受賞した「舟を編む」の方が迫力と勢いががあって面白く感じた。
作家として確実に進化しているのであろう。

さて、小田急線町田駅を中心にして北へ10分ほど歩いたところに高原書店という有名な古書店がある。

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古いビル1階から3階まで、棚に入った古書と、歩く場所をやっと確保しているというかのように棚に整理されるのを待つ山積みの古書でいっぱいである。
三浦しをん氏は町田に住み、かつてこの店で働いていた。
ここに来ると、本の存在がとても貴重に思え、小説を電子書籍で読むことに罪悪感を感じる。

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歴史コーナーをゆっくりと、たぶん今は絶版になっているだろう本を見ていくと、よくもまあ、これほどいろいろと細かいことを研究し記している先人がいたものだとため息がでる。
すると本の中から声が聞こえてくるような感じがしたのだ。
その声が大きかった「朝鮮から、みた古代日本…古代朝・日関係史(全浩店著)」を買い求めた。
このような古書店は散歩のように歩くことができる。
書店の中にはモーツアルトが静かに流れていた。


一方、先ほどとは反対に、小田急線町田駅を中心にして南に10分ほど歩いたところに巨大ブックオフがある。

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地下はCD、DVD、1階は小説以外のハードカバーや雑誌、2階は文庫本、小説、洋書など・・・ワンフロアーはちょっとしたスーパーより広い面積である。
このブックオフは少なからず高原書店の売れ行きに影響を及ぼしたに違いない。

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1年ぶりに中に入ってみると、本棚は整然とし、目的の本がさらに探しやすくなっている。
夕飯の材料を買うように、これとこれ、そんな書店である。
消費者にとっては思わぬ拾い物もあるかもしれないが、この店の手にかかってしまうと本の価値が一律になってしまう。
従来型の古書店とは違い、寂しい気持ちになる。
書店の中にはきゃりーぱみゅぱみゅが流れていた。

本好きにとってブックオフは便利で有難い存在だ。
だからなおのこと、従来型の味わいのある古書店の存続が心配なのだ。
by shinn-lily | 2014-07-13 23:00 | | Trackback

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