謝謝台湾 胡宮博物院のおばさん

胡宮博物院にいる。
謝謝台湾 胡宮博物院のおばさん_b0116765_2225226.jpg

お手上げである。
「素晴らしい財宝の数々に感動しました」と言えない。
感動するには教養が枯渇している。
だいたい西洋美術だって、印象派以前は感性だけでは鑑賞できず
絵画の約束事を知って始めて絵が楽しめるのだ。
まして、中国3000年の歴史、時代の名前くらいしか知らない私に、どうやってこの山のような芸術品を鑑賞したらよいかわからない。

人気の宝物は翡翠を彫った白菜、これを見るのにはかつて東京でミロのビーナスを、あるいはツタンカーメンを見た時のような長い列に並び、ほんのわずかな時間見ることが出来るという状況で、とてもあの列に並ぶ気はしないし、しかも列の最後尾が二手からきているから、どちらに並んでよいかもわからない。
展示室の通行止めになっている逆の入り口で、何度もジャンプしてかろうじて頭と頭の間から実物を一瞬見た。まだ、私、若いわ。
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混雑はトイレも同様
「ギャ、すごい列、どうする、他の階に行ってみる?」
すごすごと出てきたわたしたちをこっち、こっちという手招きにするおばさんがいる。
顔を見合わせながら後に続く。そこは身障者専用のトイレがあった。
おばさんは故宮博物院の清掃係りの方だろう。
「ここに早く入りなさい、ほらみつからないうちに」という感じで、わたしたちを早く早くと駆り立てながら招きいれる。
いいのかなとまずわたしが恐々と…出てくればせかせか手拭の紙まで用意してくれている。AちゃんもBちゃんも続く。
おばさんは4つにたたまれたすりきれた紙を私たちに見せる。
日本の地名がばらばらと書かれている。
「広島、広島」「千葉 ??がいる」と片言の日本語。
よくわからないから、「日本に住んでいたのですか」と聞くと
「おばちゃん、おばちゃん広島に住んでる」どうも親戚の方が日本にいらっしゃるようだ。
70歳以上なら少し日本語が話せるかもしれないが、もう少し若い。
わたしたちとの片言の会話を楽しんでいる様子、その雰囲気からみて、イキイキと毎日働いているに違いない。
なんだか、私たちも嬉しくなってしまうほど、魔法の力を持ったおばさんだ。
Aちゃんがバッグから飴を出してさしあげた。喜んでくれた。
で、これを見てくれと棚を指さす。
なんと、そこには、森永やら、カンロやら、見慣れた飴が山積みになっている!!!
わたしたち、今日何番目のお世話になった日本人なのだろう。
おばさん、日本人が好きなのね。
なんとせかせかした人、でも愛くるしい表情をしたおばさん、今日も日本人を身障者トイレに案内して、「広島、広島」って言っているかな?
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わたしたち、61歳、おばさん、62歳 同年代同士の暖かなひとときをありがとう。
今度、故宮博物院に行ったら、おばさんを最初に探しますから
元気で働き続けてください。
そしておばさん同士のよしみで、またこっそりトイレを貸してくださいね。
by shinn-lily | 2012-03-20 22:37 | 台湾 | Trackback

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